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インプラントは骨が足りないとできない?骨造成の方法と治療前の確認ポイント

「インプラントを入れるには骨が足りないと言われた」「骨を増やす手術まで受けるべきか迷っている」。検査でそう説明されても、足りない場所や必要な処置が分からないままだと、次の一歩を決めにくいものです。

骨が少ない場合でも、骨造成などの処置を組み合わせてインプラント治療を検討できることがあります。ただし、骨を増やせば誰でも治療できるわけではありません。骨の幅や高さ、周囲の歯ぐき、持病、手術の負担を確認し、入れ歯やブリッジも含めて選ぶ必要があります。

練馬区西大泉のわたなべ歯科医院では、骨と歯ぐきの不足に対して、それぞれの処置を併用した前歯の症例を公開しています。院長の渡部正義は、日本口腔インプラント学会のインプラント専門医です。実際の症例も手がかりに、「どこが足りないのか」「何のために補うのか」「手術の回数や負担はどう変わるのか」を整理します。

「骨が足りない」は、幅・高さ・場所を分けて考える

歯を支える顎の骨は、歯周病で失われたり、歯を抜いた後に形が変わったりすることがあります。そのため、歯がない隙間が十分に見えていても、その下にインプラントを支える骨が十分あるとは限りません。

まず確かめたいのは、骨のどの部分が、どの方向に足りないかです。

診察で確認する状態治療計画で確認すること
横幅が薄い計画した位置にインプラントを入れた際、周囲を覆う骨を確保できるか
高さが少ない上顎洞や神経などとの位置関係を踏まえ、安全に埋入できるか
一部の骨が欠けている欠損の位置や範囲に応じて、どのような補い方が必要か
歯ぐきも薄い・少ない骨と併せて、歯ぐきの形や厚みに配慮する必要があるか

上の奥歯では、鼻の横にある空洞「上顎洞」と骨との距離が関係します。下顎では、顎の中を通る神経などの位置を確認します。同じ「骨不足」でも、前歯と奥歯、上顎と下顎では検討する内容が異なります。

「何ミリあれば大丈夫ですか」と聞きたくなるかもしれません。しかし、必要な骨の条件はインプラントの種類や位置、周囲の組織などで変わります。数字だけで可否を判断せず、画像上で不足している部分を示してもらうと、説明を理解しやすくなります。

CTで骨を調べ、完成後の歯の位置から治療を計画する

インプラントの検査では、口の中の診察やレントゲンに加え、必要に応じてCTで骨の立体的な形や周囲の組織を確認します。わたなべ歯科医院でも歯科用CTを備えています。

インプラントを置く位置は、上に装着する歯の位置やかみ合わせ、隣の歯との関係から考えます。骨のある場所へ入れられても、被せ物の形が不自然になったり、清掃しにくくなったりしては、治療後に困るからです。骨を補うかどうかも、完成後の歯を想定して検討します。

例えば前歯であれば、唇側の骨や歯ぐきの状態も見た目に関係します。奥歯では、噛む力や向かい合う歯、歯間ブラシなどで手入れできる形についても確認したいところです。

院長はドクターズ・ファイルの取材記事で、お口のスキャンと歯科技工士による被せ物の設計を使い、CT画像と合わせて埋入位置を計画する工程を説明しています。また、位置を案内するガイドを使う際も、ずれの可能性を踏まえて確認・調整する方針です。機器の情報と実際の口の状態を照らし合わせて治療を進めます。

日本口腔インプラント学会の患者さん向けQ&Aでも、術前の検査や、骨が少ない場合の治療、治療後の管理について解説されています。診察で説明された内容を振り返る際の参考になります。

前歯の症例で見る、骨と歯ぐきを別々に補った理由

当院で公開している右上前歯の症例では、唇側の骨が薄いことに加え、歯ぐきの厚みも不足していました。そこで、骨を補うGBRと、歯ぐきの厚みを補う結合組織移植を併用しています。

症例で対応した課題行った処置と目的
唇側の骨が薄いインプラントを入れる際にGBRを行い、周囲の骨の不足に対応
歯ぐきの厚みが足りない結合組織移植を併用し、歯ぐきの量を補う
最終的な歯と歯ぐきの形を整える仮歯で歯ぐきの形を調整してから、最終的な被せ物を装着

実際の治療内容、期間、費用、リスクについては、前歯の骨造成と歯肉移植を併用した症例でご紹介しています。症例ページに記載された期間や経過は、その患者さんについてのものであり、同じ結果や治療期間をお約束するものではありません。

この症例で骨と歯ぐきの両方を処置したのは、それぞれに不足があったためです。骨が少ない方全員に歯肉移植まで必要になるわけではありません。ご自身の計画で二つの処置を提案された場合も、どちらが何を補うためなのかを分けると、説明を整理できます。

骨を補う主な方法と、それぞれの役割

骨造成は、インプラント治療に必要な骨の量や形を補うための処置です。方法は一つではなく、骨の不足する場所や範囲によって検討します。

GBRは、不足する部分で骨の再生を促す方法

GBRは、メンブレンと呼ばれる膜などで骨を再生させる空間を確保し、骨補填材などを組み合わせて骨の再生を促す方法です。インプラント周囲の骨の不足などに対して検討されます。

使用する材料は、患者さん自身の骨や、由来の異なる骨補填材など、治療計画によって変わります。「骨造成」と聞いて、必ず別の場所から大きく骨を採る手術が必要だと思い込む必要はありません。一方、採骨を伴う場合は、その場所にも処置後の負担が生じます。

GBRでは、補う範囲だけでなく、使う材料と膜も治療計画の一部です。膜を後日取り除く必要があるか、別の場所から骨を採るかによって、受ける処置の内容が変わります。材料について希望や気になる点があれば、手術前にお伝えください。

ソケットリフト・サイナスリフトは、上の奥歯で検討する方法

上の奥歯で上顎洞までの骨の高さが不足している場合、上顎洞の内側の膜を持ち上げ、その下に骨を補う空間を作る方法があります。

インプラントを入れる方向から、骨の内側を通して処置する方法を一般にソケットリフトと呼びます。上顎洞の横側の骨に入口を作って処置する方法が、一般にサイナスリフトと呼ばれる方法です。名前だけでは違いが分かりにくいものの、手術で扱う場所や範囲が異なります。

どちらを選ぶかは、残っている骨の量や膜の状態、必要な処置の範囲などによります。「傷が小さそうだから」「費用が安いから」という理由だけでは決められません。鼻や副鼻腔の病気で治療中の場合、過去に手術を受けた場合なども、事前に歯科医師へ伝えてください。

インプラントと同時に行うか、骨の治癒を待つか

骨造成の方法が同じでも、インプラントを入れる時期によって治療の進み方が変わります。最初の処置から人工歯が入るまでの基本的な順番を比べてみましょう。

処置の順番人工歯が入るまでの流れ
同時に行う骨造成とインプラント埋入 → 治癒・結合の確認 → 人工歯の装着
段階を分ける骨造成 → 骨の治癒確認 → インプラント埋入 → 結合の確認 → 人工歯の装着

同時に行えるかどうかは、残っている骨でインプラントを安定させられるか、補う範囲はどの程度か、といった条件によって判断します。処置を一度にまとめられることだけを優先するものではありません。

段階を分ける場合は、骨造成後に数か月単位の治癒期間を設けることがあります。その後にも、インプラントと骨の結合を待つ期間や、被せ物を作る工程が必要です。骨を補う範囲や治り方によって、予定が変わる可能性もあります。

治療期間を聞くときは、「骨を補う手術から、最終的な歯が入るまで」を含む予定かどうかがポイントです。インプラントを入れてからの期間だけでは、その前に骨の治癒を待つ時間が含まれていません。仕事や家庭の予定を立てるには、最初の処置からの見通しが必要です。

また、治癒を待つ間にどのような仮歯を使えるかも、生活に直結します。見た目を補えても、普段どおりに噛めるとは限りません。仕事で人と話す機会、食事、旅行などの予定がある場合は、希望の日程とともに相談しておきましょう。

骨造成を受ける以外の選択肢も比較する

骨造成を提案されたからといって、その場でインプラント治療を決める必要はありません。追加手術によって何を目指せるのかと、自分が負担できる費用・通院期間・体調面の条件を照らし合わせて考えましょう。

条件によっては、インプラントの長さや設計などを検討できることもあります。ただし、短いインプラントなら必ず骨造成を避けられる、細いものならどこにでも入れられる、ということではありません。使用できる条件や、噛む力への対応を個別に評価します。

入れ歯やブリッジも、失った歯を補う選択肢です。入れ歯は取り外して管理する必要があり、装着感や支えになる歯への影響を確認します。ブリッジでは、隣の歯の状態や、削る必要のある範囲などが検討点になります。それぞれの治療で、得られることと引き受ける負担が異なります。

比較するときは、次の三つを歯科医師と整理してみてください。

  • 今回の骨造成によって、歯の位置・形・支え方をどう整えるのか
  • 骨造成を行わない場合、選べる治療と制約は何か
  • 治療後も自分で手入れし、通院を続けられる計画か

手術のリスクと、治療前に伝えておきたいこと

腫れや痛みのほか、追加処置が必要になる可能性もある

骨造成では、手術後に痛み、腫れ、出血、内出血などが起こることがあります。感染、傷の開き、補った骨が十分に治癒しないことなどにより、追加処置や治療計画の変更が必要になる可能性もあります。歯が入った後も、インプラント周囲炎や被せ物の破損などが起こり得るため、定期的な管理が必要です。

上顎洞に関わる処置では、膜の損傷や副鼻腔の感染などがリスクに含まれます。骨を補う場所や方法によって注意点が異なるため、自分の計画では何が起こり得るのかを確認してください。

手術後は、傷に負担をかけない食事や清掃の方法など、担当医からの指示に従います。痛みや腫れが強くなっていく、発熱する、出血が続くといった変化があれば、次の予約まで待たずに手術を受けた医院へ連絡しましょう。

上顎洞に関わる手術についてさらに知りたい方は、英国の公的医療機関による上顎洞挙上術の患者向け説明(英語)も参考になります。術式の違いと合併症、治癒を待つ理由が説明されています。

歯周病・喫煙・持病・服薬も計画に関係する

インプラントを入れる場所だけでなく、残っている歯の歯周病や口の中の清掃状態も確認します。炎症がある場合は、その治療や管理を先に進めることがあります。

喫煙は傷の治癒やインプラントの経過に影響するため、喫煙の有無と本数を伝え、禁煙について相談しましょう。糖尿病などの持病がある方は、その病名だけで治療の可否を決めるのではなく、コントロールの状態も踏まえて評価します。

骨粗しょう症の薬、血液を固まりにくくする薬などを使用している場合も、薬の名前が分かる資料を持参してください。飲み薬だけでなく、注射の薬も含めて伝えることが必要です。薬をやめるかどうかは歯科と処方医で判断するため、自己判断で中止しないでください。

骨造成の費用は、インプラントと合わせた総額で確認する

一般的なインプラント治療と、それに伴う骨造成は自由診療です。費用を比較するときは、インプラント本体の価格だけでなく、骨造成、被せ物、検査、仮歯などを含めた見積もりを確認します。

わたなべ歯科医院の公式料金表には、以下の金額が掲載されています。これは各項目の掲載額であり、すべてを合計するという意味ではありません。

項目公式料金表の掲載額
インプラント440,000円〜
GBR55,000〜165,000円
ソケットリフト110,000円
サイナスリフト275,000円

必要な処置や含まれる項目は治療計画によって異なります。現在の掲載内容はわたなべ歯科医院の料金表でご覧いただけます。個別の見積もりでは、消費税を含む支払総額と、治療内容を変更した場合の費用も確認してください。

骨造成については、材料や膜の費用が掲載額に含まれるか、処置の範囲が変わった場合に追加費用が生じるかを確認してください。治療全体の見積もりの見方は、インプラント1本の費用と見積書の確認項目で解説しています。

骨が足りないと言われた方からのよくある質問

別の歯科医院で相談する意味はありますか?

説明を受けても疑問が残る場合や、提示された治療の負担に迷う場合は、別の歯科医師の意見を聞くことも選択肢です。ただし、相談先が変われば必ずインプラントができる、という意味ではありません。

これまでの診断、治療計画、見積もりがあれば持参しましょう。CTなどの資料を受け取れるかは、撮影した医院に確認してください。資料があっても、状態の変化や検査条件によって再検査が必要になる場合があります。

骨造成をすれば、インプラントは長持ちしますか?

骨造成は、治療に必要な骨の条件を整えるための処置であり、インプラントの寿命を保証するものではありません。歯が入った後も、清掃、かみ合わせ、周囲の歯ぐきの状態などを継続して管理します。

治療前に、歯ブラシや歯間ブラシを使いやすい形にできるか、定期受診を続けられるかも相談してください。手術が終わることと、長く使うための管理は、続けて考える必要があります。

診察で使える、骨が足りないと言われたときの相談メモ

説明を聞いていると、気になっていたことを聞きそびれる場合があります。次の項目をスマートフォンなどに残し、ご自身で書ける部分を埋めておくと役立ちます。

受診前に書いておくこと

  • 今困っていること:噛みにくさ、見た目、入れ歯の使い心地など
  • 優先したいこと:手術の回数、費用、通院期間、食事など
  • 伝えておきたいこと:持病、服薬、喫煙、これまでの治療

診察で説明を聞いて書くこと

  • 骨が不足している場所と、幅・高さのどちらが足りないか:
  • 提案された処置と、インプラントを入れるまでの順番:
  • 骨造成を行わない場合に選べる治療:
  • 最初の処置から最終的な歯が入るまでの期間と総額:

分からない欄は空白のままで構いません。お薬手帳や過去の治療計画・見積もりがあれば、あわせて持参してください。すでに説明を受けている方は、納得できている点と、もう一度聞きたい点を分けておくと相談が進みやすくなります。

大泉学園・西大泉で、骨の少ない部位のインプラントを相談したい方へ

骨の状態を調べることと、骨造成を受けると決めることは別の段階です。まずは検査の結果をもとに、できる治療、その条件、追加の負担を整理していきましょう。当院の設備や治療の流れは、インプラント治療のご案内をご覧ください。

わたなべ歯科医院は、東京都練馬区西大泉6丁目1-17にあります。大泉学園駅からはバスで「西大泉三郵便局」下車、医院前には専用駐車場があります。骨の状態やこれまでの治療説明について気になることがあれば、ご相談ください。

ご予約はお電話03-5947-7464、またはWEB予約から受け付けています。

院長紹介

渡部 正義(わたなべ せいぎ)

わたなべ歯科医院 院長
日本口腔インプラント学会 インプラント専門医

2015年、日本大学歯学部卒業。2016〜2024年、浅賀歯科医院で副院長として勤務。2024年、わたなべ歯科医院院長に就任。日本歯周病学会、日本インプラント臨床研究会(CISJ)に所属。