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インプラントは何歳まで?70代・80代で考えたい体調・薬・通院のこと

入れ歯で噛むと痛い。でも、今から手術を受けてよいのだろうか。親がインプラントを勧められたものの、通院や手入れまで続けられるか気になる。年齢を重ねてから歯の治療を考えるときは、歯が入った後の暮らしも含めて迷うものです。
インプラントには、すべての人に共通する年齢の上限はありません。70代・80代でも治療を検討できる場合があります。ただし、年齢だけで「できる」とも「できない」とも決められません。体調、服用している薬、口の中の状態、治療後の管理を合わせて判断します。
練馬区西大泉のわたなべ歯科医院では、日本口腔インプラント学会のインプラント専門医である渡部正義院長が診療しています。この記事では、これから治療を検討するご本人とご家族に向け、体調や薬の確認から、歯が入った後の暮らしまでを整理します。
70歳、80歳という区切りだけでは決められない
同じ75歳でも、持病が安定して一人で通院できる方と、体調の変化が続き、日々の生活に介助が必要な方では、治療の条件が違います。反対に、若い方でも病気や口の状態によって手術を見合わせることがあります。
日本口腔インプラント学会の『口腔インプラント治療指針2024』でも、高齢者の適応を年齢だけで判断せず、今後の健康や生活の変化を含め、本人・家族と話し合う考え方が示されています。
迷っている理由を一つ挙げるなら、どれに近いでしょうか。心配の中身によって、先に調べることが変わります。
| いま気になること | 診察で先に調べること | その結果を何に使うか |
|---|---|---|
| 持病や薬が手術に影響しないか | 最近の病状と、飲み薬・注射の種類 | 手術時期や管理方法を検討する。必要に応じて処方医へ照会する |
| 家族の送迎を毎回頼めるか | 治療中の予定と、終了後の定期受診 | 続けられる通院計画かを考える |
| 今の入れ歯では痛くて噛めない | 痛みの原因と、入れ歯の適合・噛み合わせ | 調整や作り直しで改善を目指せるか、ほかの方法も比べる |
これは治療の可否を自己判断する表ではありません。年齢への漠然とした不安を、診察で答えを聞ける疑問に変えるためのものです。
「80歳になる前に急いで入れたほうがよいですか」という考え方にも注意が必要です。誕生日が手術の期限になるわけではありません。年齢を理由に急いで契約するより、必要な検査と説明に時間をかけましょう。
最初に話したいのは「どの歯を入れるか」より、食事で困る場面

インプラントは、失った歯の部分に人工の歯根を埋め込み、被せ物などを支える治療です。条件が合えば、入れ歯の動きが気になる方の噛みにくさを改善したり、隣の歯を大きく削らずに欠損を補ったりできる可能性があります。
ただ、入れ歯の不便さは、人によって異なります。「食べるたびに外れる」「同じ場所に当たって痛い」「人と食事をするときに気になる」。診察では、こうした具体的な場面を伝えてください。入れ歯の調整や作り直しによって改善を目指せる問題もあります。
ご家族と相談するときも、まずはご本人が何を変えたいのかを聞いてみましょう。家族は見た目が気になっていても、本人が困っているのは食事中の痛みかもしれません。手術を避けたい、通院回数を抑えたいという希望も、治療を選ぶ材料になります。
当院の院長は、公開インタビューで、最初に患者さんの困りごとを聞くこと、処置前にその日の内容を伝え、処置後には進んだところと次回の予定を説明することを挙げています。ご家族が付き添う場合も、「今日は何をしたのか」「次は何のために来るのか」を一緒に把握できると、治療の見通しを共有しやすくなります。
また、歯を補うことと、食べる機能のすべてを回復させることは同じではありません。むせる、飲み込みにくい、食事に極端に時間がかかる場合は、歯や入れ歯以外の評価が必要になることもあります。インプラントだけで解決すると考えず、気づいた変化を一緒に伝えてください。
持病がある方は、病名と「今の状態」をセットで伝える
糖尿病・高血圧は、通院しているだけで判断しない
糖尿病がある場合、血糖の状態は感染や傷の治り方に関係します。高血圧や心臓の病気がある場合も、病名だけでなく、治療によってどの程度安定しているかが判断の材料になります。
歯科医師が知りたいのは、病気があるかないかだけではありません。最近入院した、薬が変わった、以前より疲れやすいといった変化も、予定する処置の負担を考える手がかりです。お薬手帳と、手元にある最近の検査結果や血圧の記録を持参すると、医科の主治医への照会も進めやすくなります。
当院では手術時に生体監視モニターを使い、血圧や心拍数などを見ています。ただし、手術中の変化を捉える機器と、事前に持病の状態を調べることは役割が違います。モニターがあるから病状の評価を省けるわけではありません。
骨粗しょう症の薬は、注射も忘れずに
骨粗しょう症で治療中の方は、使っている薬がインプラントの計画に関わることがあります。一部の骨吸収を抑える薬では、顎の骨に壊死などの問題が起きるリスクを考慮します。
薬には飲み薬だけでなく、注射や点滴もあります。毎日使う薬ではないと、問診で伝え忘れることがあります。「骨の注射を定期的に受けている」と分かるだけでも、まず申し出てください。過去に使っていた薬も対象になります。
リスクは、薬の種類、投与の目的、使用量や期間、口の中の状態によって異なります。骨粗しょう症とがんの治療で同じ系統の薬が使われることもあり、単に「骨の薬」とまとめて判断はできません。
歯科治療のために、自分で薬を止めたり、注射を延期したりしないでください。中止によって別の健康上の不利益が生じることがあります。処方医と歯科医師が情報を共有したうえで、治療の可否や時期を検討します。
血液を固まりにくくする薬も、自己判断で中止しない
抗凝固薬や抗血小板薬は、脳梗塞などの血栓による病気を防ぐ目的で使われます。出血が心配だからと自己判断で止めると、本来防いでいた病気の危険を高めるおそれがあります。
歯科医師は、薬の種類と予定する処置をもとに、出血への対応や処方医との連携を検討します。「何日前から休薬すればよいか」をインターネットの情報だけで決めないでください。
このほか、ステロイドや免疫に関わる薬、がんの治療歴なども診療に関係します。ご自身で重要な薬を選別せず、使っているものが分かる資料をまとめて持参すると、確認漏れを減らせます。
骨の量だけでなく、残っている歯と清掃のしやすさも調べる

体調面で手術を検討できても、口の中の検査は別に必要です。歯ぐきの炎症、残っている歯の状態、噛み合わせ、人工歯を入れるスペースなどを確認します。
当院は歯科用CTを備え、骨の幅や高さ、神経などとの位置関係を立体的に調べる際に使用しています。骨粗しょう症の検査で得た全身の骨密度の結果と、インプラントを入れる場所の骨の状態は、分けて評価するものです。
骨を補う処置を提案された場合は、その処置によって手術の範囲や治療期間がどのように変わるかを確認しましょう。骨を増やす方法があることと、その方にとって負担に見合う治療になることは、別々に検討します。詳しい方法は、骨が足りない場合のインプラントと骨造成で説明しています。
歯周病などの炎症がある場合は、先にその治療や清掃状態の改善を進めることがあります。インプラントを入れる部分だけを整えても、口の中全体の管理が難しいままでは、治療後に困るためです。
さらに、画像だけでは分からないのが、毎日の手入れのしやすさです。奥歯まで歯ブラシが届くか、歯間ブラシを扱えるか、細かな動作に困っていないか。骨にインプラントを入れられる位置でも、完成した歯を磨きにくければ、長く使ううえで課題が残ります。人工歯の形を考える段階から、普段どのように磨いているかも伝えましょう。
喫煙している方は、そのことも伝えてください。喫煙は傷の治癒や長期的な経過に影響するため、治療前から禁煙について相談します。
インプラント・入れ歯・ブリッジを、生活の負担で比べる
どの方法でも、治療後の清掃や歯科での管理は必要です。高齢だから入れ歯、固定式だからインプラント、と決めず、ご自身にとって続けやすい方法を比べましょう。
| 方法 | 検討しやすい利点 | 治療前に確かめたい負担・条件 |
|---|---|---|
| インプラント | 単独の歯を補う場合、隣の歯を削らずに支えを作れる。固定式の人工歯を選べる場合がある | 埋入手術と治癒期間が必要。費用、周囲の清掃、定期受診の見通しを確認する |
| 取り外し式の入れ歯 | インプラントを埋める手術をせずに歯を補える。外して洗える | 着脱を行えるか、介助できるかを確認する。装着時の違和感や痛みへの調整が必要になる場合がある |
| ブリッジ | 条件が合えば、インプラントの埋入手術をせずに固定式で補える | 支えとなる歯の状態が条件になる。一般に歯を削る処置が必要で、連結部分の清掃にも配慮する |
入れ歯とブリッジには、適用条件や材料によって保険診療の選択肢があります。一方、通常のインプラント治療は自由診療です。
比較するときは「いちばんよく噛めるのはどれですか」だけでなく、「今ある歯への影響はどう違いますか」「自分の手で掃除できますか」「通院が難しくなったら、どんな対応が必要ですか」と質問してみてください。ご自身の生活に引きつけた説明を聞けます。
当院が扱う治療の概要は、インプラント治療とほかの治療法の比較でもご案内しています。相談した時点でインプラントに決めておく必要はありません。
将来、家族の手を借りることになったら
「今は磨ける」から、もう一歩先の相談へ
手術を受けるときに元気でも、数年後に手の動きや視力、通院のしやすさが変わることはあります。将来の状況を正確に予測することはできませんが、支援が必要になったときの相談先を決めておくことはできます。
例えば、毎日の清掃が難しくなった場合は、道具の変更や家族による介助を検討します。家族が代わりに磨く際も、力任せにこすればよいわけではありません。どこに汚れが残りやすいか、どの道具を使うかを、歯科医師や歯科衛生士から教わると取り組みやすくなります。
本人が取り外せない固定式の人工歯では、口の中に入ったまま清掃する必要があります。外せる入れ歯とは管理の仕方が異なります。現在の扱いやすさに加えて、介助する人にも清掃できる形かを相談しておきましょう。
通院が難しくなった場合に、訪問歯科へ何を引き継ぐかも確認点です。訪問診療ですべてのインプラント処置ができるとは限らず、医院への受診や専門的な対応が必要になる場合があります。診療を受けられなくなってから探し始めるより、生活が変わりそうな段階でかかりつけに相談してください。
治療の記録を、本人だけが知っている状態にしない
治療した医院の連絡先、インプラントを入れた場所と時期、メーカーや製品の情報は、転居や入院で受診先が変わったときの手がかりになります。医院から受け取った記録は、お薬手帳などと一緒に保管すると見つけやすくなります。
記録に何を残すかの参考になるのが、日本口腔インプラント学会の口腔インプラントカードです。治療した部位や日付、使った製品などを書き留める欄があります。見た目だけで製品を特定することは難しいため、治療を受けた医院に記録を残す方法を尋ねておきましょう。
ご本人の了承のもと、ご家族にも保管場所を伝えておくとよいでしょう。介護が必要になったら必ずインプラントを抜く、ということではありません。その時点のお口と身体の状態に応じて、清掃の支援、人工歯の修理・変更など、必要な対応を検討します。
費用・期間・リスクは、治療を決める前に一緒に確認
当院の公式料金表では、インプラント治療は440,000円〜と掲載しています。これは公式料金表の掲載額であり、実際の支払総額は治療内容によって異なります。
骨造成や鎮静法などの追加処置が必要な場合、別途費用がかかることがあります。金額を比べるときは、検査・仮歯・最終的な被せ物を含む範囲と、消費税を含む支払総額をそろえて見ます。歯が入るまでの費用に加え、定期管理や修理にかかる費用も、長く使う間の支出です。
項目別の金額は、わたなべ歯科医院の料金表をご覧ください。
公式の治療案内に掲載している目安は、治療期間3〜5か月、通院回数5〜10回です。ただし、抜歯後の治癒待ち、骨造成、歯周病治療などが必要な場合や、体調・傷の治り方によっては、この範囲を超えます。すべての方が同じ予定で進められるわけではありません。
付き添いや送迎を予定しているご家族にとっては、総回数だけでなく、いつ支援が必要になるかも気になるところです。毎回付き添うのか、手術日を中心に予定を空けるのかでは負担が違います。診療にかかる時間や日程変更の連絡方法も含め、具体的な予定を組める説明を受けましょう。
主なリスクには、手術後の痛み・腫れ・出血、感染、神経への影響によるしびれ、上顎洞への影響、骨と十分に結合しないことなどがあります。治療後もインプラント周囲炎、人工歯や部品の破損・緩みが起こる可能性があり、追加の処置や再治療が必要になる場合があります。
検査や設備でリスクをゼロにはできません。どのリスクが自分の計画に関係するか、代わりの方法では負担がどう変わるかまで説明を受けて、判断することが大切です。
説明を聞いた後、家に持ち帰りたい三つの答え
診察が終わってから、「できると言われたけれど、なぜできるのかは分からない」と感じることがないよう、次の三つをメモに残してみてください。初回ですべて決まらない場合は、次の検査で何を調べるかが分かれば十分です。
- 自分が治療を受けるための条件は何か。持病の照会や、先に行う歯科治療があるか。
- 今の困りごとがどこまで改善すると見込めるか。入れ歯の調整やブリッジでは、何が違うか。
- 費用・通院・清掃を続けられるか。自分でできることと、家族に頼みたいことは何か。
ご家族に説明を聞いてもらうかどうかは、ご本人の意向を大切にします。遠方の家族に後から伝える場合も、治療名や金額だけでなく、この三つが分かると話し合いやすくなります。
インプラントを受けるか迷っていても、現在の噛みにくさへの対応まで先延ばしにする必要はありません。入れ歯が安定し、残っている歯にも問題がなければ、検討する時間を取れることがあります。一方、痛くて食べられない、腫れや膿がある、傷が繰り返しできる場合は、先に歯科で診てもらいましょう。
顔や首が急に腫れて息苦しい場合は、119番など救急対応を求めてください。急な腫れに飲み込みにくさを伴う場合も、通常の相談予約を待たず、速やかに医療機関を受診してください。
大泉学園・西大泉で、ご本人の暮らしに合う治療を考える

当院では、失った歯をどう補うかに加え、残っている歯や噛み合わせも含めて治療を考えます。院長の経歴と診療方針は、ドクター紹介でご覧いただけます。
初回の相談では、次のものをご用意いただくと、確認を進めやすくなります。すべてそろっていなくても、分かる範囲からで構いません。
- お薬手帳と、注射・点滴を含む治療内容が分かる資料
- 手元にある最近の検査結果、通院中の医療機関の情報
- 使用している入れ歯、過去の歯科治療の資料
- 食事で困る場面と、通院・費用について希望することのメモ
当院は東京都練馬区西大泉6丁目1-17にあり、医院前に無料駐車場を備えています。大泉学園駅からは、バス停「西大泉三郵便局」を利用できます。医院紹介・アクセスも、ご家族の送迎を含め、継続して通えるかを考える際の参考になさってください。
まずは「今の入れ歯で何に困っているか」「年齢や持病のどこが心配か」を、そのままお聞かせください。お電話03-5947-7464でご予約・ご相談を受け付けています。WEB予約もご利用いただけます。
監修者紹介
渡部 正義(わたなべ せいぎ)

医療法人社団 彩正会 わたなべ歯科医院院長。
日本大学歯学部を2015年に卒業後、浅賀歯科医院で2016年から2024年まで副院長を務め、同年にわたなべ歯科医院院長へ就任しました。
治療した部分だけを見るのではなく、再発の背景となる口腔内環境まで整えることを診療の軸としています。インプラント治療においても、周囲の歯ぐき、残っている天然歯、噛み合わせ、生活背景を含め、長期的な治療計画を立てることを大切にしています。
所属・資格
- 日本口腔インプラント学会 インプラント専門医
- 臨床研修指導医
- 日本歯周病学会 所属
- 日本インプラント臨床研究会 CISJ 所属
- 日本大学 歯学部 歯科保存学第Ⅲ(歯周病)講座 所属