| 治療内容 | 58歳・女性。「右上の前歯が外れてしまった」ことを主訴に来院されました。診査の結果、右上2番(上顎右側側切歯)は保存が困難と判断し、抜歯と同時にインプラントを埋入する「抜歯即時インプラント」を行いました。 本症例では、歯根の唇側の一部を温存するソケットシールドテクニックを併用し、抜歯後の骨や歯肉の形態変化をできるだけ抑えることを目指しました。 インプラント埋入と同日に仮歯を装着し、治癒の経過に合わせて歯肉の形態を調整しました。また、歯肉の厚みを補うため、CTG(結合組織移植術)も併用しています。 歯肉の状態が安定した後、周囲の天然歯との色調・形態・歯肉ラインの調和を確認し、最終的な被せ物を装着しました。 |
|---|---|
| 治療期間・治療回数 | 治療期間:約4か月 ※治療期間・回数は、お口の状態や必要な処置、治癒の経過によって異なります。 |
| 治療費用 | 700,000〜800,000円(税込) ※本治療は自由診療です。 ※骨・歯肉の状態や必要な処置によって、治療内容・費用は異なります。 |
| リスク・副作用 | 外科処置を伴うため、術後に疼痛、腫脹、出血、内出血などが生じることがあります。 インプラントと骨が十分に結合せず、再治療やインプラントの撤去が必要となる場合があります。 治療後にインプラント周囲炎、歯肉退縮、骨吸収などが生じる可能性があります。 ソケットシールドテクニックでは、温存した歯根片の感染・露出・移動などが生じ、追加処置や除去が必要となる場合があります。 CTG(結合組織移植術)では、移植片を採取した部位および移植部位に疼痛、腫脹、出血などが生じることがあります。 治療結果には、骨や歯肉の状態、噛み合わせ、清掃状態などによる個人差があります。治療後の歯肉形態や審美的な結果を保証するものではありません。 |
| 備考 | 抜歯即時インプラントやソケットシールドテクニックは、すべての症例に適応できる治療ではありません。歯根・骨・歯肉の状態などを確認したうえで、患者様に合わせた治療計画を立てます。 治療後も、適切なセルフケアと定期的なメインテナンスが必要です。 |
治療詳細
右上の前歯が外れ、保存が困難な状態でした


患者様は「右上の前歯が外れてしまった」とのことで来院されました。治療部位は、上の前歯の中央から右側へ2本目にあたる右上2番です。
診査の結果、この歯をそのまま保存することは困難と判断しました。前歯は会話や笑ったときに見えやすいため、失った歯を補うことに加え、周囲の歯肉や隣の歯との調和にも配慮して治療を計画しました。

一般に、抜歯後は歯を支えていた骨が吸収し、それに伴って歯肉の形態が変わることがあります。前歯部では、歯肉のわずかな退縮やボリュームの変化が、治療後の見た目に影響する場合があります。
そこで本症例では、ソケットシールドテクニック(Socket Shield Technique)を併用しました。これは、歯根のうち唇側にある一部を意図的に残し、周囲の骨や歯肉の形態をできるだけ保つことを目的とした方法です。
適応を慎重に判断し、残す歯根と周囲の組織に配慮しながら処置を進めました。
抜歯と同時にインプラントを埋入


右上2番には、抜歯と同じ日にインプラントを埋入する「抜歯即時インプラント」を行いました。ソケットシールドテクニックで歯根の唇側の一部を温存しながら、インプラントによる修復を進めています。
前歯部の治療では、最終的な被せ物と周囲の歯肉がどのように調和するかを考えることが重要です。本症例でも、インプラントの位置、骨や歯肉の状態、最終的な歯の形までを一連の治療として考えました。
手術当日に仮歯を装着し、結合組織移植も併用

インプラント埋入と同日に、プロビジョナルレストレーション(仮歯)を装着しました。仮歯は見た目を補うだけでなく、治癒の過程で歯肉の形態を整える役割も担います。
治癒の経過に合わせて仮歯の形を調整し、最終的な被せ物へつなげました。
また、本症例では、インプラント周囲の歯肉の厚みを補い、軟組織の安定を図る目的で、CTG(結合組織移植術)も併用しました。歯の形だけでなく、その周囲を支える歯肉にも配慮した治療を行っています。
インプラント埋入と同日に、プロビジョナルレストレーション(仮歯)を装着しました。仮歯は見た目を補うだけでなく、治癒の過程で歯肉の形態を整える役割も担います。
治癒の経過に合わせて仮歯の形を調整し、最終的な被せ物へつなげました。
また、本症例では、インプラント周囲の歯肉の厚みを補い、軟組織の安定を図る目的で、**CTG(結合組織移植術)**も併用しました。歯の形だけでなく、その周囲を支える歯肉にも配慮した治療を行っています。
周囲の歯との調和を確認し、最終補綴物を装着


歯肉の状態が安定したことを確認した後、最終的な被せ物を装着しました。
隣の歯との色調や形態、歯肉の立ち上がり、歯肉ラインのバランスを確認し、自然な口元との調和を目指しました。治療期間は約4か月です。
治療後も、適切なセルフケアと定期的なメインテナンスを継続し、インプラントと周囲の組織の状態を確認していくことが大切です。
※本症例の治療内容・費用・治療期間・リスク・副作用は、上記「治療詳細」をご確認ください。
※治療結果には個人差があり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。
前歯部インプラントは、歯肉の形まで考えた治療が大切です
前歯のインプラント治療では、被せ物の色や形に加えて、周囲の骨や歯肉の状態が見た目に関わります。
本症例では、ソケットシールドテクニック、結合組織移植、仮歯による歯肉形態の調整を組み合わせ、機能の回復と周囲の天然歯との調和を目指しました。
「前歯が外れてしまった」「前歯の抜歯が必要と言われた」「治療後の見た目が気になる」という方は、ご相談ください。わたなべ歯科医院では、歯を残せる可能性を含めてお口の状態を確認し、患者様に合った治療方法をご提案します。
監修者紹介
わたなべ歯科医院 院長
渡部 正義(わたなべ せいぎ)

日本大学歯学部を卒業後、浅賀歯科医院で副院長を務め、2024年にわたなべ歯科医院の院長に就任。日本口腔インプラント学会のインプラント専門医として、歯の保存と治療後の口腔内環境を考えた診療に取り組んでいます。
略歴
- 2015年:日本大学歯学部 卒業
- 2016〜2024年:浅賀歯科医院 副院長勤務
- 2024年:わたなべ歯科医院 院長就任
所属・資格
- 日本口腔インプラント学会 インプラント専門医
- 臨床研修指導医
- 日本歯周病学会 所属
- 日本インプラント臨床研究会 CISJ 所属
- 日本大学歯学部 歯科保存学第Ⅲ(歯周病)講座 所属
担当:院長 渡部正義